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逆転合格を可能にする慶應SFC小論文対策<前編>

~なぜ学年ビリからでも1年で慶應大学に現役合格するのかを深く理解すれば奇跡はあなたにも起こる~
「逆転合格を可能にする慶應SFC小論文対策
<前編>」

今の成績が低くても、慶應大学逆転合格

 「慶應クラス」という慶應義塾大学進学専門塾を主催している塾長の牛山です。
 本日ご紹介する記事は、以前書かせていただいた「我が子を確実に慶應大学に合格させる教育法」という記事のスピンオフ編です。『逆転合格を可能にする慶應SFC小論文対策』と題しまして、慶應大学に合格するための秘訣をご紹介していきます。本年、とある「学年ビリから慶應大学に合格したストーリー」が書籍となり、ベストセラーになりました。この書籍は映画化されましたが、この逆転劇も慶應SFCへの合格でした。なぜこのような一般的には起こりえないことが起こったのでしょうか。本日ご紹介する内容は、「慶應SFCの小論文対策」ですが、間接的にこの逆転劇の裏側をお伝えすることになります。

慶應SFCとは?

 慶應SFCとは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの略称です。慶應SFCは、様々な入試改革に積極的に取り組んでいます。日本で初めてAO入試を導入するなど、慶應SFCは、大胆な教育の変革に取り組んでいる大学と言ってもいいでしょう。

慶應SFCは、小論文ができれば大変合格しやすい

 慶應SFCは、大胆な入試体制をとっています。従来の教育で一般的に重視される科目が入試科目に少ないのが特徴です。「英語と小論文」もしくは、「数学と小論文」で受験可能です。実質的には一科目の大胆な入試体制をとっています。
 慶應SFC受験生の場合、英語や数学は多くの学生が高い点数を取ります。小論文は得点分布が一般的に大きいため、小論文がしっかりできれば慶應SFCは大変合格しやすい学部です。逆に言えば、小論文ができなければ慶應SFCに合格することはそれだけ難しくなります。

間違いだらけの慶應SFC小論文対策

 近年この慶應SFCの小論文対策について、不適切な対策が説かれることが多くなりました。間違いだらけの慶應SFCの小論文対策とは、以下のようなものです。

《代表的な3つの危険な慶應SFC小論文対策》

  1. パターン学習と問題演習(パターン化した時点で対応できない。)
  2. ネタ中心学習(知識は得点化しにくい。知見の方が重要。)
  3. ハウツー化された思考方法で問題解決学を捉える(問題解決を甘く見ている。)

 パターン学習だけで慶應SFCの小論文対策を行った場合、レベルの低いアウトプットになります。問題を解いた本人は、(パターンにはめて問題を解くことができた)と思っていても、その内容がお粗末になっていることが少なくありません。その理由はパターンにはめているだけだからです。小論文で問われているのは、問題をどれだけのレベルで解くことができたかです。
 2つめの失敗パターンは、「ネタ中心主義の対策」です。「ネタ中心主義の対策」をやり過ぎると、問題に適応しにくいので、点数が高くなりにくくなってしまいます。小論文には「知識点」というものは原則としてありません。
 3つめの失点パターンは、「ハウツー化された思考方法で問題解決学を捉えること」です。この点についてはなぜ危険なのか、事例を加えて後程ご説明致します。

なぜ危険な言説が氾濫するのか

 このような「実質的には入試に対応しにくい言説」が氾濫する理由は、大きく二つあります。1つめの理由は、多くのケースで商業教育の論理が支配的になるためです。「自社サービスを正当化するための合格理論」は様々なシーンで幅を利かせてしまいます。2つ目の理由は日本の教育がほとんどのケースで暗記教育であるため、「答えを覚えるやり方で対応できる」という考えが一般的であるためです。

SFCの入試で見られているのは、「パターン学習の習熟度」ではなく「問題解決スキル」と「素養」

 SFCの入試で見られているのは、出題される問題ができるかどうかではありません。問題を解決する能力の「度合い」が見られています。したがって、(問題が解けた)(問題が簡単だった)と言ってみても仕方がありません。現実にその問題を解くレベルと度合が高くなければ全く意味を成さないのです。したがって慶應SFCの小論文では、受験生がどの「度合い」で問題解決を図ることができるのかを計測することができる問題が出題されることがほとんどです。

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問題解決を学ぶ大学院の入学式で大前氏が述べた「知識の価値は0です」の意味とは?

 知識を入れても、慶應SFCの小論文に対応できるとは限りません。このことを象徴するエピソードがあります。私が大学院に入学した時、問題解決をこれからみっちりと2年間学ぶ大学院生に対して、学長である大前研一氏は言いました。「知識の価値はゼロです。」
 MBAとは、原則として問題解決そのものを訓練する専門職大学院です。思考のプロフェッショナルを育てます。私が通ったビジネス・ブレークスルー大学大学院は、マッキンゼーのOBが問題解決を教える大学院でした。したがって教えてもらうのは、世界トップのコンサルティングファームであるマッキンゼーの手法です。そのマッキンゼーのトップを長年務め、スタンフォードでも教鞭をとっていた大前氏が、「知識の価値はゼロです。」と述べたのです。スタンフォード大学と言えば、「フレームワーク思考」を生み出したことでも有名です。物事を特定のフレームワークにはめこみ、パターン化した思考方法で問題に対処する思考のフォーマットです。ところが大前氏は、このような思考のフォーマットが現実の世界では通用しないと説きます。日本及び米国の超一流の経済界の大物と直に会い、経営戦略立案を請け負うマッキンゼーのトップであった大前氏がこのように述べるのです。フォーマット化された思考方法は一種の知識と言えるでしょう。目の前の問題を深く考察せず、あらゆる問題を思考のフォーマットに落とし込み、そこから生まれる解決策を提案するような発想方法は、現実に対応できないことが多いのです。本当に優れた経営者や、ビジネスパーソンはそのような型にはめた「ハウツー思考」をしません。思考のフォーマット(パターン)は、10分もあれば誰でも学ぶことができます。それでは世界で活躍する一流のビジネスパーソンを10分で量産できるでしょうか。そのようなことが、できるはずがありません。
 大学院の入学式の日、大前氏が次のように言いました。「目の前の問題を自分の目で見て、自分の頭で考えなさい。」問題解決の本来のスタンスとはこのようなスタンスです。私が慶應SFCを受験する受験生に送るべきメッセージは、このような問題解決者のスタンス、考え方です。この基本的な問題解決者のマインドを基本スタンスとして、その腕を磨いていくことが大切なのです。

問題解決スキルはどのように鍛えることができるのか

 それでは問題解決のスキルは、どのようにすれば鍛えることができるのでしょうか。問題解決のスキルは、大きく2種類に分けることができます。その理由は、問題を解決するアプローチは、問題解決の原理から大きく二つに分けることができるからです。以下の図は問題解決学の全体像を簡単に図式化したものと言えます。
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 1つ目の問題解決アプローチは、「物事を分析していき、本質的な問題点を定義し、その本質的な問題点の裏返しの解決策を立案する問題解決」です。例えば、2010年度に慶應大学総合政策学部で出題された介護労働者の離職率を分析する問題は、この類です。「日本における介護労働者の離職率が高いこと」を示す各種資料が試験では与えられ、この問題がいかにして引き起こされているかを問う問題になっています。以下は、私が作成した2010年度慶應大学総合政策学部の解答例です。

【問1 解答例】
図:図式化問題の解答例(2010年度慶應大学総合政策学部)

図:図式化問題の解答例(2010年度慶應大学総合政策学部)


 介護労働者の離職率が高い原因は大きく3点ある。第一の要因は、内部要因として、肉体的かつ、精神的負担が大きいことである。第二の要因は、外的な要因であり、上記の労働条件の割に報酬が少ないことである。第三の要因は、背景要因である母集団の属性である。本来ストレスに弱いまじめな気質の労働者が、理念を重視して職場を選んでいるケースが多い。図1が示すように一般的には、賃金と離職率は相関が無いため、報酬が少ないとの考えは、感覚的なものであると考えられる。
 総じて、求職段階での就職希望者のニーズと、実際の労働環境及び労働条件がマッチしておらず、精神的かつ肉体的な負担の割に、労働条件が納得のいくものではない度合いが大きいことが、介護労働者の離職率の高さに影響を及ぼしている。

 ここでご紹介した解答例のように、分析型の問題では、与えられた資料のデータ(事実)を基に、全体の構造を分析し、問題解決のための戦略を立案し提言するパターンが少なくありません。総合政策学部は、この手の問題がよく出題されます。

 2つ目の問題を解決するアプローチは、「大きなアップサイドが見込める領域に対する対策を立案する問題解決のアプローチ」です。物事は常に本質的な問題点の裏返しを行えばいいわけではありません。例えば、アップル社の業績をV字回復させた故スティーブ・ジョブズ氏の経営判断はこの類です。CEOであったスティーブ・ジョブズ氏は、当時売り上げ構成比から言えば、大きく売り上げに貢献していた部門をあえて切り捨て、今後伸びる可能性がある部門に経営資源を集中させました。その結果、アップル社の歴史的成功が始まり、遂には、世界一の時価総額にまで到達します。このような問題解決は、「大きなアップサイドが見込める領域に対する対策」です。物事を細かく分析するのではなく、感性やセンスをフルに働かせて対策案を立案します。このような頭の働かせ方を象徴する言葉をスティーブ・ジョブズ氏は述べています。

「私たちは未来がどうなるかは分からない。しかし、私たちがどこに向かっているのかを感じることはできる。」スティーブ・ジョブズ
(下線部は本稿の執筆者による。)

つまり、感性やセンスを存分に働かせることで、このような問題解決が可能になることを彼は示唆しています。
 慶應SFCの総合政策学部は、「本質的な問題点の裏返しを立案させるタイプの問題解決」が多く、環境情報学部は、「大きなアップサイドが見込める領域のタイプの問題解決」をさせることが多いのです。(ただし、今後は出題傾向が変わるかもしれません。)

次回は逆転合格を可能にする核心をご紹介します

 本日は慶應SFCに合格するために理解しておくべき各種前提についてご紹介しました。次回は慶應SFCに合格するために、具体的にどうすればいいのかをご紹介します。従来の受験対策では、「なぜお子様の実力が半分程度しか発揮されにくくなってしまうのか」を解説し、対処法を詳しくお伝え致します。


プロフィール

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牛山 恭範(うしやま・やすのり)

  • 慶應義塾大学合格請負人
  • スキルアップコンサルタント
  • 専門家集団Allaboutスキルアップの担当ガイド
  • 株式会社ディジシステム 代表取締役
  • ヤフー(Yahoo)知恵袋 専門家回答者
  • 慶應大学進学専門塾『慶應クラス』主催者

慶應大学に確実かつ短期間で合格させる慶應義塾大学合格請負人。慶應義塾大学合格の要である、小論文と英語の成績を専門家として引き上げる為、理系を除く全学部への合格支援実績がある。(学部レベルだけに留まらず、慶應大学法科大学院へ合格に導く実績もある。)短期間で人を成長させる為の知見を活かし、教え子の小論文の成績を続々と全国10以内(TOP0,1%以内も存在する)に引き上げる事に成功。12月時点で2つの模試でE判定の生徒を2ヵ月後の本試験で慶應大合格に導く実績もある。

技術習得の専門家として活動する為、英語力の引き上げを得意としており、予備校を1日も利用させずにお金をかけず、短期間で英語の偏差値を70以上にして、帰国子女以上の点数を取らせるなどの実績が多い。慶應大学合格支援実績多数。

自分自身も技術習得の理論を応用した独自の学習法で、数万項目の記憶を頭に作り、慶應大学SFCにダブル合格する。(その手法の一部は自動記憶勉強法として出版)同大学在学中に起業し、現在株式会社ディジシステム代表取締役。
より高い次元の小論文指導、小論文添削サービスを提供する為にも、世界最高の頭脳集団マッキンゼーアンドカンパニーの元日本、アジアTOP(日本支社長、アジア太平洋局長、日本支社会長)であった大前研一学長について師事を受ける。

ビジネスブレークスルー大学大学院(Kenichi Ohmae Graduate School of Business)経営管理研究科修士課程修了。(MBA)スキルアップの知見を用いることで、牛山自身の能力が低いにも関わらず、同大学院において、『東大卒、東京大学医学部卒、京都大学卒、東大大学院卒(博士課程)、最難関国立大学卒、公認会計士、医師(旧帝大卒)、大学講師等エリートが多数在籍するクラス』(平均年齢35歳程度)において成績優秀者となる。個人の能力とは無関係に「思考・判断力」「多くの記憶作り」等で結果を出すことができるスキルアップコンサルタントとしてマスコミに注目される。(読売新聞・京都放送など)他の「もともと能力が高い高学歴な学習支援者」と違い、短期間(半年から1年)で、クライアントを成長させることが特徴。

慶應合格のためのお得情報提供(出る、出た、出そう)ではなく、学力増加の原理と仕組みから根本的に対策を行う活動で奮闘中。

著書

「慶應大学絶対合格法」

「AO入試プレゼンテーション対策と合格法」

「小論文技術習得講義」

「小論文の教科書」

「自動記憶勉強法」

「~なぜ人は情報を集めて失敗するのか?~目標達成論」

「勉強法最強化PROJECT」(弁護士・医師との共著)

「慶應小論文合格バイブル」

「難関私大対策の急所」(以上共にエール出版社)

「機械的記憶法」(日本実業出版社)

「クラウド知的仕事術」(日本能率協会マネジメントセンター)

「速読暗記勉強法」(日本実業出版社)

第1回 「従来の教育法では慶應に益々合格しにくくなる」はこちら

第2回 「慶應大学合格に必要な要素と中核」はこちら

第3回 「慶應大学合格に有効な受験対策(前編)」はこちら

第4回 「慶應大学合格に有効な受験対策(後編)」はこちら

第5回 「慶應小論文対策で失敗しないための根本的対策」はこちら

第6回 「信頼関係と素直な心で慶應受験に強くなる」はこちら

スピンオフ第1回 「今からでも時間がなくても国立大学、慶應大学に我が子を合格させる方法」はこちら

スピンオフ第2回<後編> 「逆転合格を可能にする慶應SFC小論文対策<後編>」はこちら

スピンオフ 「我が子を慶應大学に合格させる英語教育法」はこちら

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